シャンプーのボトルを触ったとき、「このギザギザはいつから付いているんだろう」と気になったことはありませんか。
シャンプーのギザギザが市場に初めて登場したのは1991年10月で、花王が初めて実用化しました。
このギザギザは単なるデザインではなく、目で確認しなくてもシャンプーとコンディショナーを触って見分けるために生まれたユニバーサルデザインです。
この記事では、開発が始まった1989年から1991年の実用化、1993年のポンプ部分への採用までを時系列で紹介します。
さらに、なぜシャンプー側にギザギザがあるのか、花王が実用新案の申請を取り下げて業界への普及を働きかけた理由、JISやISOへ発展した経緯まで、公式資料をもとにわかりやすく解説します。
シャンプーのギザギザはいつから?1991年10月に初めて登場
シャンプー容器のギザギザが市場に初めて登場したのは、1991年10月です。
花王が開発したもので、1989年に研究を始めてから約2年をかけて実用化されました。
「昔から何となく付いていた目印」ではなく、利用者の困りごとを調べたうえで生まれたユニバーサルデザインなのです。
| 時期 | シャンプーのギザギザに関する出来事 |
|---|---|
| 1989年 | 花王がシャンプーとリンスを触って識別するための容器研究を開始 |
| 1990年 | 消費者調査を実施し、約6割に取り違え経験があることを確認 |
| 1991年7月 | きざみ入り容器の実用新案を出願 |
| 1991年10月 | ギザギザ付きシャンプーが市場に初登場 |
| 1993年秋 | ポンプタイプのポンプ頭部にもきざみを採用 |
開発は1989年に始まり、1991年に実用化された
シャンプーのギザギザの歴史をたどると、スタート地点は1989年です。
花王は消費者から寄せられた声をきっかけに、シャンプーとリンスを目で見なくても区別できる容器の研究を始めました。
お風呂では髪を洗っている最中に目を閉じることがありますし、シャンプーとリンスのボトルは形が似ていることもありますよね。
そこで花王が1990年に調査したところ、約6割の人が洗髪時にシャンプーとリンスを間違えた経験があると回答していました。
さらに盲学校を訪問して調査すると、視覚に障害のある人がボトルに輪ゴムを巻いたり、点字テープを貼ったり、置く場所を決めたりして自分なりに区別していることも分かりました。
いわば利用者自身が後から「目印」を付けていた状態で、その目印を最初から容器に組み込もうとしたのがギザギザ開発の発想です。
花王は容器の質感を変える方法や凸状のマークなど、複数の方法を試したうえで、触ったときに分かりやすい側面の「きざみ」を採用しました。
1991年7月にはきざみ入り容器の実用新案を出願し、その後、1991年10月にギザギザ付きシャンプーが市場へ初登場しました。
つまり「シャンプーのギザギザはいつから?」への最も正確でシンプルな答えは、「1991年10月から」です。
ポンプ上部のギザギザは1993年秋から採用された
現在のポンプ式シャンプーを見ると、ボトル側面だけでなく、ポンプの頭にギザギザが付いている商品もあります。
このポンプ頭部のきざみが採用されたのは1993年秋です。
花王は1991年秋からボトルタイプのシャンプー容器の側面にきざみを付け、その後、ポンプタイプでも手が触れやすい頭部に同様の目印を加えました。
ボトルの側面まで手を伸ばさなくても、ポンプに触れた時点でシャンプーだと判断しやすくする工夫ですね。
1991年10月はシャンプーのギザギザそのものが市場に登場した時期で、1993年秋はポンプ上部にもきざみが広がった時期と分けて覚えると混同しません。
シャンプーのギザギザは1991年に誕生し、その後も使いやすさに合わせて改良されてきました。
シャンプーのギザギザはなぜ付いている?触って見分けるため
シャンプーのギザギザは、目で見なくても触るだけでシャンプーだと分かるようにするための目印です。
視覚に障害のある人はもちろん、洗髪中に目を閉じているときや、メガネを外して入浴しているときにも役立ちます。
見た目の飾りではなく、誰でも使いやすくすることを目的としたユニバーサルデザインのひとつです。
| 製品 | 触って見分ける目印 | 主な見分け方 |
|---|---|---|
| シャンプー | ギザギザ状のきざみ | 容器の側面やポンプ部分の凹凸を触る |
| コンディショナー・リンス | 基本的にシャンプーのようなきざみなし | シャンプー側にきざみがあることで区別する |
| ボディソープ・全身洗浄料 | 一直線状の触覚記号 | ギザギザではなくライン状の目印で区別する |
目を閉じていてもシャンプーとコンディショナーを区別できる
シャンプーのギザギザの役割を一言でいえば、触覚だけで中身を識別できるようにすることです。
浴室ではシャンプーとコンディショナーの容器が似ていることが多く、ラベルを確認しにくい場面もあります。
特に髪を洗っている最中は目を閉じることがあるため、ボトルを手に取るたびに文字を読むのは現実的ではありません。
そんなとき、容器の側面やポンプ部分を指で触ってギザギザがあれば、「これはシャンプーだ」と判断できます。
たとえば暗い部屋で壁のスイッチを手探りで探すように、形や凹凸そのものが情報を伝えてくれる仕組みです。
この工夫は、もともと視覚に障害のある人の困りごとも参考にしながら開発されました。
花王が盲学校を訪問して調査した際には、シャンプーとリンスを区別するため、輪ゴムを巻いたり点字テープを貼ったり、置き場所を決めたりする工夫が行われていました。
つまり、それまで利用者自身が付け足していた目印を、製品の容器そのものに組み込んだわけです。
シャンプーのギザギザは「視覚障害のある人だけのための目印」ではなく、目で確認しにくい状況にいる多くの人が使える設計です。
このように、特定の人だけでなく幅広い人が使いやすくなる設計をユニバーサルデザインと呼びます。
シャンプーのギザギザは、見なくても分かるというシンプルな仕組みで、入浴時の小さな不便を減らしています。
なぜギザギザはシャンプー側に付いているのか
シャンプーとコンディショナーを区別するなら、「なぜシャンプーのほうにギザギザを付けたのだろう」と疑問に思いますよね。
日本石鹸洗剤工業会によると、ペアで使用する製品のうち、先に使うシャンプー側に凹凸のあるきざみを付ける方法が採用されています。
つまり、シャンプーに目印をひとつ決めておけば、もう一方のコンディショナーやリンスも相対的に見分けられる仕組みです。
ギザギザがあればシャンプー、なければコンディショナーというように、二つの容器へ別々の複雑な記号を付けなくても判別できます。
これは、家の鍵に目印をひとつ付けるだけで似た鍵を見分けやすくするのと同じ考え方です。
ただし、すべての市販シャンプーに必ずギザギザが付いているとまでは確認されていません。
花王の公式説明では、現在は国内の「ほとんどのメーカー」のシャンプーに同様のきざみが採用されているとされています。
また、ボディソープや全身洗浄料には、シャンプーのギザギザと混同しにくいよう一直線状の触覚記号を使う仕組みがあります。
このライン状の表示は2014年のJIS改正にも盛り込まれ、シャンプーとは異なる触り心地で区別できるようになっています。
ギザギザをシャンプー側の共通した目印にすることで、容器のデザインやメーカーが違っても直感的に判別しやすくなっています。
シャンプーのギザギザを考案したのは誰?花王が初めて実用化
シャンプー容器のギザギザを開発し、1991年に初めて実用化したのは花王です。
花王は自社だけの目印にするのではなく、利用者がメーカーを問わず同じ方法でシャンプーを見分けられることを重視しました。
その考え方は業界への普及につながり、やがてJISやISOでもアクセシブルデザインの事例として扱われるようになりました。
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1991年 | 花王がシャンプー容器のきざみを初めて実用化 |
| 1991年7月 | きざみ入り容器の実用新案を出願 |
| その後 | 実用新案の申請を取り下げ、業界各社へ採用を働きかける |
| 2000年 | JIS S 0021の事例として掲載 |
| 2011年 | ISO 11156の事例として採用 |
| 2020年 | 国内規格がJIS S 0021-1:2020へ移行 |
実用新案の申請を取り下げ、業界全体への普及を優先した
シャンプーのギザギザを初めて実用化した企業は花王です。
花王は1989年から容器の研究を進め、1991年7月には「きざみ入り容器」の実用新案を出願しました。
ここで注目したいのは、便利な仕組みを開発したことだけではありません。
メーカーごとに異なる目印が使われれば、利用者は商品を買い替えるたびに「どの形がシャンプーなのか」を覚え直す必要があります。
それでは、せっかく触って分かる目印を作っても、メーカーが変わると意味が通じない道路標識のようになってしまいます。
そこで花王は、業界で共通して使える仕組みにすることを重視しました。
花王の公式資料によると、実用新案の申請を取り下げ、日本化粧品工業連合会を通して業界各社へ採用を働きかけたとされています。
この経緯を「花王が特許を取得して無料開放した」と表現するのは正確ではありません。
今回確認できる一次資料に記載されているのは、「実用新案を出願した後に申請を取り下げ、業界各社へ採用を働きかけた」という経緯です。
「特許を無償提供した」といった説明は、少なくとも今回確認した公式資料からは裏付けられないため、区別しておくとよいでしょう。
この取り組みを受け、日本化粧品工業連合会を中心に関連する業界で普及が進められました。
花王は現在、国内のほとんどのメーカーのシャンプーに同様のきざみが採用されていると説明しています。
ただし、「すべてのメーカー」「すべてのシャンプーに必ず付いている」とまで断定できる公式根拠は確認されていません。
花王が目指したのは、自社商品の便利な特徴ではなく、メーカーが変わっても同じ意味で使える共通の目印にすることでした。
2000年にJIS、2011年にISOの事例へ発展した
シャンプーのギザギザは、メーカー各社へ広がっただけで終わりませんでした。
2000年にはJIS S 0021の「同一または類似する容器の内容物を識別するための配慮事項」に関する事例として掲載されました。
JISとは日本産業規格のことで、製品やサービスなどについて一定の考え方や基準を示す日本の国家規格です。
さらに2011年には、日本からの提案によってISO 11156のアクセシブル包装に関する事例にも採用されました。
ISOは国際標準化機構が定める国際規格で、国や地域を越えて共通した考え方を整えるために使われます。
つまり、日本の浴室で生まれた小さなギザギザの工夫が、アクセシブルな包装を考える国際的な事例へと発展したわけです。
なお、国内の規格はその後更新され、旧JIS S 0021:2014は2020年に廃止されてJIS S 0021-1:2020へ移行しています。
リサーチ基準日の2026年8月15日時点では、JIS S 0021-1:2020は有効な規格として確認されています。
ISO 11156:2011についても、同日時点でISO公式サイト上では発行済みの規格として掲載されています。
古い記事では以前のJIS規格番号だけが紹介されていることがありますが、現在の規格番号とは異なる点に注意が必要です。
1991年に花王が実用化したシャンプーのギザギザは、業界共通の目印へ広がり、JISやISOでも扱われるアクセシブルデザインへ発展しました。
まとめ|シャンプーのギザギザは1991年10月から使われている
シャンプー容器のギザギザが市場に初めて登場したのは、1991年10月です。
花王が利用者の声をもとに開発し、触るだけでシャンプーとコンディショナーを区別できる目印として広まっていきました。
最後に、この記事で紹介したポイントをまとめて確認しておきましょう。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| いつからある? | 1991年10月にギザギザ付きシャンプーが市場へ初登場 |
| 誰が実用化した? | 花王が1991年に初めて実用化 |
| 何のため? | 触るだけでシャンプーとコンディショナーを見分けるため |
| ポンプ上部はいつから? | 1993年秋から採用 |
| その後は? | 業界へ普及し、2000年にJIS、2011年にISOの事例として採用 |
ギザギザの開発につながる研究が始まったのは1989年で、花王は消費者や視覚に障害のある人が抱えていた「シャンプーとリンスを見分けにくい」という困りごとを調べました。
その結果として生まれたのが、容器を目で確認しなくても指先で判断できる「きざみ」です。
1991年7月には実用新案が出願されましたが、花王はメーカーごとに異なる目印になることを避けるため、その申請を取り下げて業界各社へ採用を働きかけました。
「花王がギザギザの特許を取得して無料開放した」という説明ではなく、「実用新案を出願した後に申請を取り下げ、業界への普及を働きかけた」と理解するのが公式資料に沿った表現です。
現在では、花王が「国内のほとんどのメーカー」と説明するほど、この仕組みは広く採用されています。
さらに2000年にはJISの事例となり、2011年にはISO 11156の事例にも採用されました。
普段は気にせず触れている数ミリほどの凹凸ですが、その背景には「誰でも同じように商品を見分けられるようにする」という考え方があります。
「シャンプーのギザギザはいつから?」と聞かれたら、まずは「1991年10月から」と覚えておけば大丈夫です。
出典:花王株式会社「シャンプーの容器についてるギザギザの『きざみ』はなに?」
出典:日本規格協会 JSA GROUP Webdesk「JIS S 0021-1:2020」
出典:ISO「ISO 11156:2011 Packaging — Accessible design — General requirements」


